INTERVIEW

Who’s Next by SATANIC Editing Room Vol.19: HIKAGE

連載企画"Who's Next"はSATANIC ENT.を編集するスタッフが、今現在気になっているけど、まだSATANIC ENT.ではピックアップしていない次世代のバンド・アーティストに会いに行き、ルーツや活動、それを取り巻くカルチャーなどを一方的に紹介するというシンプルかつ偏愛極まりない企画。第19回目は北海道を拠点に活動するHIKAGE。ライブの圧倒的な熱量を武器に、全国をかけ周り気迫のこもったパフォーマンスと楽曲で精力的に活動しているバンドだ。

L to R Halki(Gt.)、GEN(Vo.)、Wataru(Ba.)、ISSEI(Dr.)

前身バンドの解散を機に元のメンバーと共に結成

ーまずバンド結成の経緯は?

GEN:もともとHIKAGEを結成する前に The Webs We Weaveっていうメタルコア系のバンドをやっていました。その当時僕はボーカルじゃなくてギターとして本格的に活動し、カナダでワーホリをしながらバンド活動をしていたこともありました。ただ、そのバンドはいろんな問題に直面し解散してしまったんです。そこで、新たにバンドを組む為に前身バンドのベースだったWataruを最初に呼んだんですけど、ボーカルがどうしても見つからなくて。『じゃあ俺がボーカルやる?』みたいな流れで僕がやることになりました。それが2018年の出来事で結成のキッカケですかね。そして2019年からはライブ活動もしていきました。

ーなるほど。他のメンバーの加入経緯を聞きたいんですが、Halkiさんはどうやって加入したんですか?

GEN:もともとギターがもう1人欲しいと思っていて。でも入れるのも当時のメンバーの人間関係に変化が生まれるし、どうしようかと悩んでいた時期がずっと続いていて。そんなときからHalkiのことは知っていたんですけど、違うバンドで活動をしていたんだよね?

Halki:そうです。僕が前に所属していたバンドがよくHIKAGEと対バンをしていたので、面識はありました。それに、ライブ中は暴れて楽しみたかったんですけど、前のバンドはテイストが違っていたのでそれが叶わなくて。でもHIKAGEなら・・・(笑)。

Wataru:入る前にずっと『ドライブ行こ!ドライブ行こ!』って誘われていて。それで、ドライブして良い感じの時間になったら、『俺激しいのやりたいんだよね』ってジャブを打ってきたり(笑)。

Halki:ずっと、HIKAGEに入れてくれない?みたいな雰囲気を出していました。

GEN:「いや、まだかな」って俺がずっと渋り続けていたよね。

Halki:そうこうして1年が経ったくらいで、『本当にやる?』って声をかけてもらえて。

GEN:悩んだ期間が長かったんですけど、結果的に加入してもらって良かったです。

ーそんな経緯があったんですね。ISSEさんはどんな経緯で加入を?

GEN:前のドラムが抜けたタイミングで、4日連続のライブとKITAKAZE ROCK FESや自分達のツアーが控えていたので、正直ドラマーが見つからないとヤバい状況でした。そんな時にパッと頭に思い浮かんだのが彼だったんで、連絡をしてみたらひとつ返事でOKしてくれたので、サポートを経て正規メンバーになってくれました。

ーISSEIさんは誘われたときは、どう思っていたんですか?

ISSEI:僕はバンド活動をしたくて札幌から上京していたんですけど、北海道出身なこともあって、GENくんもHIKAGEの事も学生時代から知っていました。まさかそんなバンドの先輩から声をかけてもらえるとは思わなくてビックリしました。連絡をもらえた時は、むしろやりたいっすみたいな感じでしたね。

―1人だけ拠点が東京なんですね。

GEN:ただ最近は東京でのライブが多いので逆にいいのかもしれないです。

ー確かに東京でよくライブをされていますよね。では、HIKAGEの音楽的なルーツを教えていただけますか?

GEN:最初はRIZEやマキシマム ザ ホルモンにONE OK ROCKなどからハマっていきました。そこからそのバンドのルーツを辿って、Rage Against the MachineやSlipknotにLimp Bizkit、Linkin Park、KORN、Red Hot Chili Peppersとかを好きになりました。解散した前身バンドがメタルコアバンドだったので、その影響で、Asking AlexandriaやBring Me the Horizonとか2000年代くらいのメタルコアも聴いていました。他にもポストハードコアやスクリーモなどなど、結構色々好きですね。今ではポストハードコアみたいな、激しいジャンルだけど聴きやすくてノリやすい音楽にハマっていて、BeartoothやOcean Grove、Boston Manorをよく聴いてますし、影響を受けています。

Wataru:俺もRIZEからロックを聴き始めて。その後の流れは本当にGENと同じ感じなんですよ。


Halki:自分だけ他のメンバーと通ってきたものが違うんですが、初めて買ったCDはASIAN KUNG-FU GENERATIONでしたし、ずっと聴いてたアーティストは、凛として時雨やUVERworldといった邦ロックばかりだったんですよ。今のジャンルの音楽を聴きはじめたのは、大学のサークルで、激しい音楽をやっているのを見てからでした。だから全然このシーンを通ってきてなくて。まあ最近聴いてるのは、宇多田ヒカルなんですけど。どのテンションでも聴けちゃうから宇多田ヒカルが大好きで。

GEN:あれはみんな聴くよね。

ISSEI:僕は入りがCrossfaithで、その後はGENくんとWataruと同じような感じですね。

ーでは、作詞作曲は誰がやっているんですか?

GEN:曲を作るときは僕とWataruが基盤を作り上げています。なので、2人が主軸になってる感じで、それをみんなに投げて編曲してもらったり、アイデアをもらってブラッシュアップしています。なので僕とWataruのルーツがめっちゃ強く出ていると思いますよ。作詞に関しても僕がやっています。

ーそもそも、歌詞はなぜ英語にしているんですか?

GEN:もちろん、日本語で歌いたいって気持ちもあるんですけど、今は曲として聴いたときに英詞の方がしっくりきているし、自分が好きな音楽って英語で歌っている人が圧倒的に多いので、日本語を入れると日本らしさが強調されちゃうのと、言葉選びが凄く難しいと思っているんです。ストレートすぎてもダサいし、比喩表現を使いすぎてもHIKAGEっぽくないし。だから日本語の歌詞も歌いたいんですけど、今はまだかなって思います。ただ、僕はライブ中に曲のメッセージが分かるようなMCをして、その曲で何を伝えたいのかをライブで観てくれたら分かるようにはしていて。

ー英語の歌詞にはそういう意図があったんですね。

GEN:歌詞をつけるときは、日本語から書くときと英語で先にフックを書く場合の両パターンがありますね。それを最終的にイギリス人の友達に英訳してもらっているんです。やっぱり現地の人の言い回しって分からないし、カッコつけて言ったとしても、その文法に違和感が生まれないように、英詞のクオリティにも気をつけています。

―それはちゃんと海外の人にも届けたいからですか?

GEN:そうですね。伝わらなかったら嫌だなっていうのがあって。それに英語で歌ってるのに伝わんねーみたいなのはちょっと悲しいですからね。

Wataru:歌ってない時はずっと喋ってるんですよ。

ーそうなんですね。そういったMCがあるとオーディエンスも感情が入りやすいですよね。

GEN:やっぱり曲がどういうメッセージなのか理解して聴いてもらえれば1番いいですね。日本語もめっちゃ好きですし邦ロックも好きなんですが、自分がどういうタイミングでそれを使えるのかをまだ見極められていないので。

ライブハウスで出来た仲間が俺にとっての居場所


ー楽曲「HOMESICK」には、強いメッセージ性を感じます。

GEN:この楽曲は、先にWataruが作った曲があって、それをちょっと編曲して作ったんですよね。「HOMESICK」にはオレの個人的な想いも詰まっているんです。僕は北海道の北の方の出身で、実家はあるけど家庭の事情で誰も住んでいなくて、散り散りになってるんですよね。だから身内で北海道に住んでいるのは僕しかいないんですよ。ただ、僕はライブハウスで育ってそこで友達もできたし、バンドをやることで繋がりがめっちゃ増えていきました。そうやって出来た仲間が俺にとっての居場所になっていて、そういう場所がいろんなところに増えたらいいなって気持ちが強いんですよね。

ー結構GENさんの心に秘めた想いが具現化されたモノなんですね。

GEN:そうですね。あとこの曲名にした意図としては、“ホームシック”って言葉にはネガティブなイメージがありますよね?僕みたいに帰る場所が無くて、辛い気持ちになることは他の誰だってあると思います。でも僕は音楽に仲間や居場所を与えられたんで、じゃあホームシックをポジティブに捉えられるようになればいいと思ったんです。寂しいって気持ちをダサいって感じるんじゃなくて、ホームシックになれるような場所があることが1番大事だよって。だからそういう場所が無いなら、そんな場所をみんなで作りたい。大まかにはそういうテーマで書いています。僕たちは今もここに存在してるし、大丈夫だよって想いが込められた歌詞です。

ーなるほど。この曲を作る際はサンプリングした楽曲はあったんですか?

Wataru:僕はイギリスのWhile She Sleepsがめちゃ好きで、そこからの影響を受けてるだろって思われてるかもしれないくらい、攻めた楽曲なんですけどドラムツービートだらけで(笑)。

GEN:ハードコア要素は強いよね。この曲は速いのと展開変わるとボーカルつけるのめちゃむずくて。僕らは曲ができたらライブで先にやっちゃうんですけど、そこで何回かオーディエンスの反応を見つつ、完成させていく流れでやっているんですけど。最初につけた歌メロと今の歌メロが全然違っていて。最初にライブで結構抜いた感じの歌メロを入れてたんですけど、違和感があったので1人でスタジオに籠って生み出したメロディがバチッとハマったんで、シングルとしてもリリースできたんですよね。

ーこの楽曲で印象に残っていることはありますか?

Halki:試作段階の異なるメロディが入った状態でデモを送ってもらって、スタジオで合わせたときに、ラストのサビの1番盛り上がりそうな部分のリードをちょっと迷っていると相談をされたんです。僕のルーツ的に聴いてきた音楽が全然違うので、役に立たないと思っていたんですけど、『とりあえず、こんなのどう?』ってスタジオで弾いたら、『良い!』って言ってくれて。多分初めてHIKAGEの曲で自分が考えたフレーズが採用されたんです。

GEN:ギターのHalkiが加入してちょうど1年経過したくらいだったよね。

Halki:だから初めて自分の考えたフレーズが世に出るっていう。なんか自分のことで申し訳ないですけど、そこは推しています。いいフレーズだから意識して聴いてみてもらいたい。

Wataru:ルーツが違ってよかったポイントだよね。

―HIKAGEは北海道出身ですが、お世話になっている先輩バンドはいますか?

Wataru:やはりNOISEMAKERです。言い方が合ってるかわかんないですけど、東京に行って勝負している尊敬する大先輩です。僕たちも高校生くらいの時から知って聴いてきたし、NOISEMAKERがどんどん上がっていくのも見てきたので、本当にすげえなってずっと思っていて。でも知り合ったのは割と最近だったんですよね。HIKAGEを結成してからちょうどお世話になるようになって。マジで1番よくしてくれてる先輩かもしれないです。

ーやはり同郷の先輩からは刺激をもらえるんですね。

GEN:そうですね。NOISEMAKER主催のKITAKAZE ROCK FESにも呼んでもらえるようにもなり、凄く嬉しいですね。

 


HIKAGEらしさを出せるように挑戦していく
ー今に至るまでメンバーの入れ替えも何度かあったと思いますが、バンドとしてぶれない部分はどんなところになりますか?

GEN:メンバーが抜けるのは正直すごくいつも悲しいです。今まで頑張ってきた仲間とまた別に進むのは辛いけど、でもみんなの人生だと思ってます。人それぞれ新しいステップに進むのは大切なことなので俺は今でも離れたメンバーを応援してます。実際に脱退したメンバーとも会ったりしてますしね!でもその仲間に胸を張れるデカいバンドに必ずする気持ちで常に前に進んでます。

ーちなみに、HIKAGEの強みはなんだと思っていますか?

GEN:僕的には熱量かなと思います。ボーカルもずっとしゃべってるし。横ではわちゃわちゃやってるし(笑)。なので僕らの熱量をライブでやっぱ感じてほしいし、ライブじゃないと感じれないところですよね。

ー今は新曲のツアーも終わりライブを重ねていますが、これからのバンドの目標をそれぞれお聞きできますか?

GEN:いろんなフェスに出たいし、もっとデカいところでやりたいって気持ちが強いんで、とにかくライブをたくさんやりたいんで、そんな機会をもらえるようにもっと活動を広げていきたいと思っています。僕らの色を出していきたいので、他のバンドに埋もれるような感じにはなりたくないなと思っていて、HIKAGEらしさを出せるように挑戦していきたいですね。

Wataru:そうだよね本当に。メタルコアやポップパンクなどどんなジャンルのバンドとやっても、HIKAGEは常にやべえみたいなって全員に思われたいんで、それが1番強い気持ちですね。

ISSEI:僕は1番最後に入ったメンバーですが、サポート時代から変わらずにメンバーを支えて一緒に上がっていきたいですね。

Halki:GENと一緒でもっとデカい規模のライブをできるようになりたいです。自分達の音楽で、目の前にいるオーディエンスがみんな動きを合わせてくれたりする一体感が好きなので、もっと大規模なら更に楽しいんだろうなって感じます。その景色を見るためにバンドをやっているところもあるので。

ー国内外問わず?

Halki:海外も行ってみたいです。いかつい外国の人たちが『HIKAGE!』って叫んでるのをいつか見てみたいし、言わせてみたい(笑)。

GEN:海外は行ってみたいよね。とりあえず目先には地元札幌でのワンマンライブを控えています。それと同時に新曲を年内にリリース予定ですので、これからもHIKAGEの活動を楽しみにしていてください!

 

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