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interview

Who’s Next by SATANIC Editing Room Vol.18: ank

 photograph by Yuki Ohashi  text by Teneight


連載企画"Who's Next"はSATANIC ENT.を編集するスタッフが、今現在気になっているけど、まだSATANIC ENT.ではピックアップしていない次世代のバンド・アーティストに会いに行き、ルーツや活動、それを取り巻くカルチャーなどを一方的に紹介するというシンプルかつ偏愛極まりない企画。第18回目は神奈川を拠点に活動するank。結成から10年以上のキャリアを持つ彼らは、真っ直ぐなリリックと耳心地のいいメロディを武器に活動するメロディックハードコアパンクバンドだ。インタビューでは屈託のない笑顔で受け応えてくれた。


Left to Right:おおご(Dr./Cho)、まやみき(Vo./Ba)、ジーコ(Gt./Cho)

 

おおごの加入で、バンドが生まれ変わった

 

ーでは、まずバンド結成の経緯は?

まやみき:初期メンバーは私だけなんですけど、結成したのは2010年で高校2年の時でした。軽音部内の気が合った3人で何となくバンドを組んでみたんです。その当時、兄のiTunesにHAWAIIAN6が入っていて、私はロックを知らなかったので『お兄ちゃん、こんなリラクゼーション系のハワイの音楽聴くのかな?』って気になって聴いてみたら、人生がひっくり返った感じだったんですよね。

ーじゃあHAWAIIAN6が、このジャンルにのめり込むキッカケだったんですね。

まやみき:そうですね。聴いた次の日にはバンドスコアを買いに行って、「MAGIC」とかをコピーしていました。それからは、藤沢のライブハウスでHAWAIIAN6とSpecialThanksとかのコピーバンドとして、ひたすらライブしていたんです。丁度そこで働いていた店長さんが、メロディックハードコア界隈でバンドもしていて。『お前ら、若いのにメロディックハードコア好きなの?』って聞かれて。そこから、いちバンドとしての意識が芽生えて本格的にメロディックハードコアパンクバンドとしての道を進んでいくことになったんです。



ーおおごさんとジーコさんが加入した経緯は?

まやみき:結成から3~4年目くらいで、前のギターが音楽業界の裏方にいってしまって。そのタイミングでメンバー募集会を開いたんですけど、そこでankの曲コピーして演奏してくれていたのがジーコだったんですけど、嬉しくて即加入してもらいました(笑)。

ーピンときたポイントがあったんですか?

まやみき:純粋にコピーしてきてくれた姿勢が嬉しくて。そこからしばらくして、ドラムも脱退することになり活動がしぼんじゃったんです。そんな時に、ジーコが中学の同級生だったおおごを紹介してくれました。

おおご:僕は大学のサークルでドラムをやっているくらいだったんですけど、ジーコは僕がメロディックハードコアパンクが好きなのを知っていて誘ってくれました。まあ最初はサポートから入り、一緒に活動をするようになっていきました。そしたら楽しくて、ライブもやっていくうちに思いつきで曲も作り始めてみたんです。それも楽しかったので、作詞作曲もやらせてもらうことになって。

ーそこから8年経つんですね。



おおご:だからね、僕たちはWho’s NEXTと言っていただいている場合じゃないんですよね(笑)。

ジーコ:オールドルーキーだね。

まやみき:それまでは、HAWAIIAN6の影響から英詩で哀愁漂う曲調でやっていたんですけど、おおごの加入で一気に今の音楽性にチェンジした感じですね。そこがankとしてのターニングポイントで、同じ名前だけど一新した時期でした。

ーなるほど。では、おおごさんとジーコさんが影響を受けたアーティストを教えていただけますか?

おおご:僕が影響を受けたのはOVER ARM THROWで、それこそバンドを始めようと思ったキッカケにもなっています。

ジーコ:メロディックハードコアにのめり込んだキッカケは、Northern19やFOUR GET ME A NOTSですね。

ーみなさん日本のバンドに影響を受けているんですね。

おおご:そうですね。

ー作詞はおおごさんがやられているとのことでしたが、どんな想いを歌詞に込めているんですか?

おおご:根本的な部分として、良いメロディにすることを常に考えています。さらに、そのメロディを生み出すためには、テーマがないと作れないのでそこを先に決めて、作詞の際に考えていることを中心に書いて作っていくんです。恥ずかしいんですけど、恋をすると色んな言葉が頭に浮かんでくるんです。あとは仕事やバンドに対して思ったことも書きますし、そもそもライブが好きなんで、ステージからこんな景色を見たいって考えて組み立てることも多いですね。それに、僕はドラムなんでリズムも作れますし。

ーなるほど。作曲を同時に行っているんですか?



おおご:そうですね。作曲というかメロディと歌詞を同時に組み立てていて。それをメンバーに送ってコードをつけて、スタジオで合わせて作っていくって流れですね。

ーこのバンドにとって、おおごさんの影響はかなり大きいんですね。

まやみき:そうですね。

ーメンバーでは歌詞の意味を意識しているんですか?

おおご:最初はメンバーにも知っていて欲しくて説明していたんですけど、ここ3~4年は、自分が思った解釈で捉えてほしいって思っています。ただ2人が沁みていれば良いかなって感じるようになりました。同じ見え方じゃなくてもよくて。それって聴く人もそうじゃないですか。自分の伝えたいことが100%伝わるわけじゃないから。

ジーコ:ただ、歌詞から『おおごの中でこんな変化あったんだ!』って感じる部分も出てきて。

まやみき:彼から『新曲の歌詞はこんな意味だよ』って言われなくても、こういうことを思っているんだなって分かるようになってきたんです。それも長年一緒にやってきた強みなんだと思います。

おおご:恥ずかしい。

ジーコ:たまに歌詞をみて、『これは恋人と別れたか!?』みたいに勘付くこともあります(笑)。



まやみき:あるある!

ー各々が色々感じ取ったものを音楽で表現しているんですね。

まやみき:彼が思っていることは頭に入れておきつつ、ステージに立って歌う時に、ライブでこの曲のここが伝えたい、って部分が毎回あるんです。そういうのは自分のその時の感情も込めながら歌っています。

ーなるほど。ankの歌詞では比喩表現を使わずにストレートに伝えていますよね。

おおご:もちろんストレートな方が伝わりやすいのもあるんですけど、個人的にウルフルズから影響を受けていて。あのバンドの歌って誰が聴いても伝わるようなシンプルな単語を使っているんですけど、そこにめちゃめちゃ深い背景を感じることができて。そんなバンドになりたいって気持ちがあるんです。



「いききっちゃおうぜ」がなかったら
全然違うアルバムになっていた



ーでは、アルバムの『いききっちゃおうぜ』についてお聞きしたいのですが、テーマはあったんですか?

おおご:リリースしたのが去年の4月でちょうど1年前なんです。今の気持ちで言うと、今までは単発でいい曲を作って、完成したものをまとめて出していました。なので、具体的なテーマ性はなかったんですが、その一時期にまとめて作っていたんで、何となく曲が一貫していて。結果的にそれが一貫性のあるアルバムとなっていたんです。ただ『いききっちゃおうぜ』に関しては、コロナ禍で色んな行動が制限されて歯がゆい部分もあって。今はライブが出来るけど、当時はコロナでやりたいことが出来ないもどかしさがあったんです。

ーどのバンドも抱えていた問題でしたね。

おおご:で、このアルバムを振り返って考えてみたんですけど、あの頃は何気ない小さなことに対して、すごい幸せを感じられる期間だったと思うんですよ。それって大事なことですけど、『いききっちゃおうぜ』っていう言葉は、ただ生きるんじゃなくて一生懸命生きたいし、メロディックハードコアが好きだし、何となくユレるよりめっちゃユレたいし、微笑むより大爆笑したいし。そういうのが、やっぱりいいじゃんって思ったんですよ。だから、“生きる”んじゃなくて、“いききっちゃおうぜ”という、言葉を選んだんです。やるんじゃなくてやり切る。そういう意識でしたね。



ーでは、アルバム内の楽曲「いききっちゃおうぜ」についてお聞きしてもいいですか?

ジーコ:あれはアルバムの中でも1番最後に完成したんです。「いききっちゃおうぜ」の無いアルバムは少しインパクトに欠けている気がしていて。レーベルにも所属せず自由にやっているバンドなので、細部まで納得のいくものを出したくて、おおごに相談したんです。そして、リリースまでタイトなスケジュールだったんですけど、納得いくものをちゃんと生み出してこそ完成だなと思って制作をしたら出来が凄く良かったんです。あの曲がなかったら全然違うアルバムになっていたと思うし、「いききっちゃおうぜ」のMVも、友達のフィルマーにツアーの様子を撮ってもらったものだったので、僕の中では凄い大事な曲なんです。



おおご:一貫したテーマや代表曲のような何かがないと、バラバラになってアルバムとして出せなくなっちゃうと思っていたときに、ジーコからそんな話があって。なので彼が考えるキッカケをくれたんですよね。「いききっちゃおうぜ」がバラバラだった楽曲を一つにまとめるキッカケになって、それが無かったらあのアルバムは無いし、あのアルバムのタイトルでも無いし。メンバー同士で忖度なく話せる中だったからこそ、あの作品になったのかなって思っています。



ーそれも長年一緒だったからこそ出来た曲なんですね。今は作曲はあまり行っていないとお聞きしましたが、今後新曲を出す予定はありますか?

おおご:今はCDにこだわらなくても曲は出せるし。出すスピードも早くなっていますよね。今後は思いついたらサブスクでリリースすることも、個人的にはやっていきたいと思っていて。

まやみき:結構頻繁に新曲をリリースするというよりも、時間をかけて納得いくものを、出したいタイミングでリリースするという気持ちの方が強いかもしれないですね。



ーでは、最後に今後の目標を教えていただけますか?

ジーコ:10年近くこのメンバーで活動できているんですが、人生のフェーズが年齢と共に変わっていく中でも変わらずにこのバンドでライブが出来ていることは誇らしいですし、今後メンバーが結婚したり子供を産んだりと、色んな経験をしていく中でも楽しんでバンドが出来たら良いなって思います。

まやみき:今バンドは11年目になっていて。ここからのバンドとしては、この3人で次はどこを目指せるかなってワクワクしています。あとはankの歌詞って仕事で失敗したり失恋した人も、どこかのフレーズで共感できる言葉がいっぱい散りばめられていると思うんですよね。だからこそ、友達に相談するのと同じ感覚でankの曲で元気づけられることが出来れば良いなって思っていますし、そんなバンドであり続けることが目標です。あとは、HAWAIIAN6と対バンできるようになりたいです!



おおご:いつどうなるか分からないですけど、かつてのライブハウスの風景が戻ってくるまでは、絶対に続けること。そして、そうなった時に憧れのSTOMPIN’ BIRDと横浜FADでツーマンを絶対にやること。そこでグチャグチャな夜を作ること。これが目の前の目標です。コロナの状況はバンドマンにとっては辛いですけど、また自由に遊べるようになる日が来ると信じて、それまではメロディックハードコアパンクの音楽と共に生きてきた人間としては続けていきたいし、40歳くらいになっても、またあの光景を見ていたいですね。

まやみき:それが目標だね。

ーありがとうございます。




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