INTERVIEW

Who's Next by SATANIC Editing Room Vol.22:RiL

SATANIC ENT.を編集するスタッフが気になるバンドをピックアップする連載企画"Who's Next”。次の時代を担うアーティストの考え方を紹介していきたいというものだ。22回目は東京2ピースオルタナティヴロックバンド、RiL。8月28日にリリースされた1stフルアルバム『ⅱ』では骨太な次世代ロックが鳴り響く。どのようなバックボーンを持ち、どう音楽を表現しているのかを聞く。

Photography - Taio Konishi, Edit&Text - Ryo Tajima(DMRT)

L to r_稲垣秀星(Vo & Gt) 、田中レイ (Dr)

ルーツに流れるロックの系譜

ーRiLはメンバーチェンジもされていると思うんですが現在の編成になった経緯を教えてもらえますか?

田中レイ(以下、レイ):最初に秀星と知り合ったのは渋谷Gee-geでした。そこでIRIE BOYSのShinhong(GtのShinhong park)と熱いセッションをやっていて、その場が初対面だったんですよね。そこから間もなく仲間伝いにRiLがドラマーを探してるんだけど、やってみないかって話をもらって、じゃあ叩こうかなって感じです。それが2021年9月ですね。

 

ーでは、レイさんが加入した頃はサポートメンバーで活動をしていたわけですね?

稲垣秀星(以下、秀星):当時、『TARO』(2021年7月リリースのEP)をリリースした頃、ドラマーがツアー直前にいなくなっちゃったんです。でもツアーでは対バンも組んでいたんで止めるわけにもいかないじゃないですか。それでShinyong.P2(IRIE BOYSのDr)だったり、いろんな友人に声をかけて手伝ってもらっていたんですよ。

レイ:そう、だからオレも最初はサポートだったんですけど、やってみたら楽しくて。ちょうど所属しているバンドもないし、RiLの音楽は自分にマッチしたので正式に加入したんです。

 

ー最初からやりたい音楽や好きなものなど共通点が多かったから、お互いにマッチしたという感じでしたか?

秀星:やりたいことに関しては明確に細かく打ち合わせというよりも、ざっくり話して合わせるというのは多いですね。

レイ:ただ、大前提として楽曲作りで迷ったときに立ち返るのは、10代の自分たちが聴いてカッコいいと感じるかどうかってことを1番重視していますね。

秀星:そのルーツにあるものとして、レイと共通しているのはロックの基礎教養がベースにあるというか。誰もが通ってきたレジェンドロックバンドはひと通り聴いてきているので、2人の共通言語が多いんですよね。制作を進める際にも当たり前に会話ができるという。

 

ーそれは、グランジでいうとNIRVANAとか?

秀星:そう、もっといくとビートルズはもちろん、Led Zeppelinとか。

 

ーそれでオルタナやポストロック的な要素もRiLにはあるんですね。どんなバンドが特に好きでしたか?

レイ:オレは、中学生の頃からめちゃめちゃ9ミリ(9mm Parabellum Bullet)が好きで影響を受けているんですよ。あと時雨(凛として時雨)とか。あの時代のバンドは根底にありますね。だから最初に行ったライブは『COUNTDOWN JAPAN 09/10』でしたから。その世代なんで、日本のオルタナティブロックがルーツにあるんですよ。

秀星:その辺のアーティストはオレらに限らず、みんな聴いていましたからね。そんな中で自分は洋楽を中心に聴いてきた背景がありつつ、日本のバンドだと他にはナンバーガールやモーサム(MO'SOME TONEBENDER)、bloodthirsty butchersだったりがルーツにありますね。NIRVANAを通っていたので、そっち方面に向いたというか。

コンセプトアルバムにしたのは90’s HIPHOPからの影響

ーどれも最高のバンドばかりですね。一方でアルバム『ⅱ』を聴くとダンスミュージックやレイヴ感も感じたのですが、そういった音楽を表現しようという思いはありますか?

レイ:そこは自分の要素が反映されているのかもしれないです。一緒に住んでいる仲間とGIVE UP GUYSというクルーを作って、ずっとハウスのパーティをやっているんですよ。ロックはもちろんなんですけどブラックミュージックも好きだし、ダンスの要素は音楽を表現するうえで大切にしていきたいことでもありますね。

 

ーでは、タイトルの意味についても教えてください。1stフルアルバムなのに『ⅱ』ですよね。2018年には『ⅲ』と名付けたEPも発表しています。

秀星:まず三部作で完結する作品を作りたいというのは前提にあったんですよね。だから最初に『ⅲ』というタイトルで出して、そこからカウントダウンしていく流れにしようと思って。あとはLed ZeppelinのアルバムでⅠ~Ⅳってあるじゃないですか。あれを中学生のときに知ってヤバい! って思ったんですよ。映画なら『スター・ウォーズ』のエピソードに付けられたナンバリングだったり。そんな風にコンセプティングしたいと考えたんです。

 

ーこの『ⅱ』は<ロックに救われたTARO少年が、HEROへ変貌を遂げロックで世界を救う物語。架空の映画"WHEN YOU WISH UPON A STAR”のサウンドトラック>というテーマもありますね。そのようなストーリーにしたのはどういう理由があるんですか?

秀星:前提としてサントラが好きというのがあるんですけど、ここには90’s HIPHOPからの影響もあるんですよ。オレ、ロックと同じくらいの割合でHIPHOPも聴くんですけど、ビギー(The Notorious B.I.G.)のアルバム『Ready to Die』やスヌープ(Snoop Dogg)といった90年代のHIPHOPの名盤はどれも映画のみたいな物語性が落とし込まれているじゃないですか。そんなアルバムからの影響で、コンセプトを作り込もうと思ったんです。スクールボーイ・Q(ScHoolboy Q)も好きだし、あの時代のHIPHOPには姿勢という面で大きく影響を受けています。

レイ:それこそ、今作で言うと4曲目の「OLD SKOOL BOY」にはフィーチャリングでHIPHOPクルー、DEVDFRE$Hの$ivaSaigo、KAMU¥が参加しているので、ロックだけではなくHIPHOPからのインフルーエンスもあるんですよ。ちなみに、彼らとの出会いはJESSEさん(The BONEZ, RIZE)が戸越銀座で運営しているJESSE'S SHOP & FACTORYで開催されていたイベントがきっかけなんです。

2部構成で表現した1stアルバム『ⅱ』

ー『ⅱ』に落とし込まれた物語を表現するにあたって、どんな曲順にしていきましたか?

秀星:これまでリリースしてきた『TARO』から『HERO』までを繋げた世界観で『ⅱ』を構築しているんですけど6曲目の「-INTERMISSION-」を境に時代背景が変わるんですよ。前半はTAROが主人公でキッズ感やノスタルジーを表しつつ、後半はHEROが主人公になって近未来に行くという。

 

ーそういった世界観の変化がアルバムを通して聴くとすごく感じられると思います。今後の話ですが『ⅱ』を携えたツアーがありますね。

レイ:そうですね。こうして1stフルアルバムが完成したわけなので、音源もライブもいろんな人に届けていきたいと思います。ツアーは大きなバン1台で対バンの仲間と一緒に回るんですけど、そうやって各地を巡りながら『ⅱ』の曲を育てていきたいですね。オレらとしても、ここがスタート地点だと思っているんで。

秀星:一緒にツアーを回るバンドはオレらとバイブスの合うカッコいいバンドばかりなんで楽しみです。比較的世代は近いバンドと回るんですけど、今後は先輩方とも同じステージを踏めるようにやっていけたらなと。

レイ:あと、先輩方と一緒に何かをやるという話でいくと、個人的には仲間でファミリーのKenKen(RIZE)と、RiLで一緒に何かをするでもいいし、何らか今後も一緒に活動することができればと考えています。『ⅱ』はオレらがこだわって作り込んだ作品なんで、これを引っ提げてより上のステージに食い込んでいきたいですね。

RiL

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