INTERVIEW

Who’s Next by SATANIC Editing Room Vol.28:View From The Soyuz

SATANIC ENT.の編集スタッフが気になるバンドをピックアップする連載企画"Who's Next”。今回は東京拠点のハードコアバンド、View From The Soyuz。聴く人が聴けば、そのサウンドは00年代のメタルコアやニュースクールハードコア直系の(つまり最高の)ハードコアだということがわかるだろう。現在23、24歳の4人が織りなすメタリックな音が現場でジワジワと話題を集めている。とにかく今後に注目したいバンドだ。さて、そのルーツには何があるのか。

Text by Ryo Tajima(DMRT)
Photo by Taio Konishj

メタル好きがハードコアをやったら00年代のメタルコアになった感覚

──バンド結成はいつ頃で、ざっくりどういう経緯がありますか?

masa:2021年です。自分とNARI、Shunsukeはもともとの友人でメタルから入り、『BLOODAXE FESTIVAL 2019』に遊びに行ったりしているうちにハードコアが好きになっていき、自分たちでもやりたいと考えるようになっていったんです。パート的にもボーカル、ギター、ドラムと揃っているので、逆になんで一緒にバンドをやってなかったんだろうねって感じで。ベースは先輩にあたるsimaさんにお願いすることにしたんです。だから、最初はメンバーではなくサポートでやってもらっていました。simaさんが正式加入したのは2022年の『BLOODAXE FESTIVAL 2022』出演時です。

──じゃあ、もともとはメタルが音楽の入り口でハードコアになっていったと。

masa :まさにそうです。メタル好きがハードコアをやった結果、メタルコアっぽくなったというロジックなので、当初からメタルコアバンドをやろうと思って結成したバンドではないんですよ。もちろんメタルコアも大好きですけどね。

──仰る通り、View From The Soyuzのサウンドには2000年から2010年頃のメタルコアっぽさが感じられますが、それはハードコアに対するメタルシーンからのアンサーだから、とも考えられるわけですね。では、そもそもメタルを好きになったのはどういう経緯が?

masa:父がメタル好きだったもので、小学校を卒業するまでメタルしか知らなかったんですよ。物心つく頃にはIn FlamesやChildren of Bodom、Sonata Arcticaを聴いていて、そこにAndrew W.K.が入ってくるという感じでした。中学生になってからONE OK ROCKを知って「ヤバいじゃん!」となるっていう。

──半端じゃないメタル英才教育を受けていらっしゃる。

masa:よく言われます。雑誌『BURRN!』(洋楽のハードロック/へヴィメタル専門誌)は父が毎月買っていたので、自分でディグるようになってからはBullet for My Valentine、Avenged Sevenfold、Triviumとか。あとはニューメタルですね。Mudvayne、僕が1番好きなKOЯNなど。その辺りがルーツにあたります。

masa(Vo)

──その1番好きなアーティストについて、みなさん教えていただきたいです。

Shunsuke:バンドじゃないんですけど、1番ベースにあるのはNujabesなんです。そもそもを辿ると、僕も父がメタルやメロディックハードコア好きだったんですよ。それでUSのデスメタルやHi-STANDARD、AIR JAM世代のバンドを聴くようになりました。小6になる頃にはマキシマム ザ ホルモンにハマって、それを父に伝えたら学習机の上に山のようなCDが置いてあって、中にはBRUTAL TRUTH、Anthrax、Slayer、Pantera、Slipknotと大体全部が網羅されていたんですよ。

──実に素晴らしいメタル英才教育を受けていらっしゃる。

Shunsuke:よく言われます。で、最後に父から教えてもらったアーティストがNujabesなんです。中学2年生の頃、とにかくBPMが速い音楽しか聴いていなかったんですが、Nujabesを聴いた瞬間に心を打ち抜かれた気がして、大きなルーツとして存在していますね。今ではHIPHOPも好きなんですけど、そこからの影響もあると思います。ちなみに好きなラッパーはJJJさんやKID FRESINOさんでFla$hBackSが好きです。

Shunsuke(Dr)

sima:1番好きなバンドはIssuesですね。高校のときに同じ部活の同級生に、当時リリースされたばかりだったcoldrainの「No Escape」(EP『Through Clarity』収録)を教えてもらいハマり、その後、立川BABELでライブをするようになって、対バン相手からIssuesを教えてもらったんです。特にルーツと言える曲は「Stingray Affliction」で、その辺りのバンドに一気にハマっていきました。その後、友人からの影響もあって、ややプログレ方面に流れていったんですよ。Modern Day BabylonやNOVELISTSだとか。こうしてハードコアをやっているのが不思議な感じなんですけど、もともとモッシュの文化自体が好きでしたね。ライブの現場が楽しくて。

NARI:僕は逆に親の影響などはなく、ギターを弾くってところが始まりでした。特に音楽をディグるってことはなかったんですけど、ギターを弾きたいという欲求があって軽音部に入り曲をコピーするようになって、今のメンバーに出会ってからハードコアのライブにも出入りするようになり、simaと同様にモッシュという体験を通じてハマっていったと思います。今もメタルだけじゃなくて宇多田ヒカルさんも大好きでよく聴きますし。

sima(Ba)

──そうした音楽経歴を持つView From The Soyuzですが、2021年の活動スタート発表と同時に1st EP『In Misty Path』をリリースされていますよね。この辺りのアクションについて振り返ってもらえますか?

masa:View From The Soyuz以前にやっていたバンド経験から、活動と同時に音源があった方がいいと考えていたんですよ。どういうバンドなのかが伝わりやすいと思いますし。まずは自己紹介のつもりのリリースだったんですけど、この反響がよくて。EPを聴いたKRUELTYのサポートGt、Gen Sunamiが連絡をくれて「オレも弾きたい」って言ってサポートギターに加わってくれたり、大阪でのライブに呼ばれたりと、活動の後押しをしてくれたんです。

──では、バンド名の由来は?

masa:これも1st EPが由来で、最後に収録している曲名が「View From The Soyuz」なんですよ。ソユーズはロシア(ソ連)の宇宙船ですが、ソユーズ1号にはたくさんの欠陥があって、宇宙に行ったら帰ってこれないことをわかっていながらも国のために搭乗した宇宙飛行士がいたんですよ。そのエピソードを曲にして、バンド名を考えるときにソユーズが3人乗りだと言うことを知り、当時は僕らも3人組だったので「これだ!」と思ってバンド名としても使うようにしたんです。

NARI(Gt)

──活動歴2年強という段階でView From The Soyuzは、すでにライブハウスの現場では話題を集めています。どのタイミングから注目を浴びるようになったと思いますか?

Shunsuke:僕の中で1個あるのが、同じく1st EPに収録している自分たちの代表曲「Ättestupa」という曲があるんですけど、1年ほど前から、そのイントロのギターフレーズをライブで演奏するとお客さんに歌われるようになったんですよ。

──SNS上で「国歌斉唱」(フロアでオーディエンスが全員で歌う様をそう呼ぶ)と呼ばれているアレですね?

Shunsuke:そうです(笑)。最初は友達や常連の人が冗談半分で盛り上げてくれるために歌っていたと思うんですけど、そのメロディが覚えやすかったのか、今ではみんなが謎に歌ってくれるようになって。

masa:その動画をSNSなどにアップするとやたらと反応がくるんですよね(笑)。お客さんが楽しんでくれるのは何よりだし、僕らも面白がっています。「歌え!」なんてほとんど言ったことないんですけど。

Shunsuke:歌われるつもりでイントロ作ってないもんね。

masa:そうだね(笑)。バンドとしてステップを踏んだという意味では2022年にリリースした2nd EP『Immaculate』がアメリカのDAZE(バンドSanctionのギターLumpyが運営するレーベル)からLPでリリースされたのも大きいです。一気に海外へ認知度が上がった瞬間でフォロワー数も増えた印象があります。

 

東京ニュースクールハードコアシーンに対するZ世代からのアンサー

──目下最新作はシングル「The Last Chapter」ですが、よりニュースクールハードコア感が増したように感じましたがいかがでしょう。

masa:最初の頃はニュースクールハードコアを意識しつつ、そこにメタルの音を落とし込んだ楽曲を作りたいと思ってやっていたんですよ。例えば、Earth CrisisやUndying、Prayer For Cleansingといったメタルコアの先駆者を意識しつつ現代流儀にやってみた結果、2000年代メタルコアっぽくなったんですけど。ただ、最近はそういうメタル由来のハードコアをやるバンドも増えてきてので、今までとちょっと違うことを意識したい部分もあって制作したのが「The Last Chapter」です。ライブの雰囲気も理解してきたのでステージで踊れることも意識しています。

──メロディもさらに多彩さが増したように思いましたが。

masa:そこは意識している点ですね。メロディだけで言えばメタルだけではなくネットミュージックからの影響もあります。J POPの世界を見渡しても同様だと思うんですけど、やっぱりメロディがいいものはいいなって。メロデスが好きな人間がメロディを蓄えてハードコアをやるとこうなりますっていう、自分の中ではおもちゃ箱みたいな曲になっていると思っていますね。

──ジャケットのアートワークにしてもそうなんですが、日本のニュースクールハードコアバンド、例えばCrystal LakeやState Craft感を感じます。その辺りのバンドからの影響はありますか?

Shunsuke:そこがすべてと言っても過言ではないですね。その東京ニュースクール・オリジネーター世代へ対するZ世代からの回答みたいな気持ちで僕はやっています。

masa:全部に影響を受けていますよ。それこそ活動を始めた頃は『BLOODAXE FESTIVAL』に出演することが夢だったので、それが2022年に叶ったときは本当に嬉しかったです。

──夢という意味で、バンドとして今後実現したいのはどんなことですか? 例えば、海外で活動するだとか。

NARI:具体的な共通目標がメンバーにあるというより、今は自分たちがやりたくないことをやらないという感じですね。いきなり海外を目指すというだけではなく国内でやれることはまだまだありますし。

Shunsuke:個人的には国内の大型音楽フェスに出演してみたいですね。父の影響でAIR JAMには憧れがありますし、それこそSATANIC CARNIVALやDEAD POP FESTiVALといった名フェスにはハードコアバンドとして出演したいです。それが夢ですし叶えていきたいですね。

sima:ハードコアなどアンダーグラウンドシーンのライブを楽しむ人がもっと増えていけばいいと思います。自分たちにとって、すごくいいイベントだと思っていてもチケットがソールドしないことが多いので、もう全国の気合いが入ったハードコアショウは全部ソールドするくらいに認知されたいです。

masa:最近、ありがたいことに色んなところに呼んでいただけるようになったので、そこでアンダーグラウンドシーンの良さをお客さんに伝えられるようなライブをしたいと思いますね。ヘヴィミュージックのアングラって面白いんだなって感じられるステージにしたいです。そうやってシーンを盛り上げてsimaが言うようにライブハウスをパンパンにできれば。

 


View From The Soyuz

https://viewfromthesoyuz.ryzm.jp/

https://twitter.com/vfts_freehill

https://www.instagram.com/vfts_freehill/

 

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